ー大人のピアノを始めた初心者が練習を続けていくためのポイントー

ピアノは子どもが習うイメージがありますが、大人になってから弾き始められます。しかし、年齢を重ねてから始めると、音楽は得意ではないけど音感が身に付くのか、楽譜が読めないけど上達できるのか、大人でも初級のピアノ教室はあるのかなど、大人のピアノを始める初心者には不安がつきものです。

大人のピアノを弾きたいと思っているものの「自分には音楽の才能がない」「弾きたいけど弾けるようにならない」とあきらめてしまうのは、もったいないことです。

この記事では、初心者が大人のピアノを習うときのポイントを紹介します。

初心者から始める大人のピアノに才能は関係ない

音楽において突出した才能や素質を求められるのは、プロの音楽家として暮らしている人などに限られるでしょう。たとえば数多くいる講師のなかでも、ピアニストとして生計を立てられるのは、僅か一握りの人だけです。

大人のピアノを始める理由が、好きな曲を弾けるようになりたい、という願いからくるものであれば、大人の初心者であってもチャレンジする価値があります。必要なのは才能ではなく努力と練習です。

もちろん、才能がある人や音楽の経験がある人は上達も早い傾向にあります。とはいえ大人のピアノを始める初心者に関しては、成長の速度が遅くても心配はいりません。

大人のピアノを始める初心者のなかには、普段は仕事をしている人もいるので、練習やレッスンに通う時間を取れない人も多いと思います。

しかし、初心者であっても焦る必要はありません。初級のコースとして、1日30分くらいの時間を目安にして練習すると良いでしょう。先回のレッスンの復習を10分行い、次の練習を20分行うセットを毎日続けると、レッスンの質が上がります。

上達するポイントは、気が向いたときに一気に練習するのではなく、毎日コツコツと練習することです。また、練習時間よりも重要なのは、毎日ピアノに触れることです。毎日たった5分だけでも楽譜を見てピアノを弾き続ければ、徐々に上手くなります。練習の間隔を空けないように注意して、ピアノを弾く感覚を体が覚えていることが大切です。

初心者が大人のピアノを始める利点

楽器を弾く人は、認知症になりにくいと噂で聞いたことがあるかもしれません。実際、長寿のピアニストは多いようです。一説によると、指先には脳に伝わる神経があり、頻繁に使用することで脳が活性化されるため、大人のピアノはボケ防止に最適といわれています。

ピアノを弾くときは、右手と左手がバラバラの動きをします。また目では楽譜を確認して、耳では曲を聴いて演奏するなど、多くの作業を同時にこなす練習は、脳が活性化されて老化を遅らせる働きがあるのです。

退職して会社勤めが終わると、自分から何かの団体に入会しない限り、新しい仲間と出会う機会が少なくなります。もし知り合いにピアノ教室へ入会した方がいるなら、紹介してもらうのもおすすめです。また、友達を誘って入会してみても良いでしょう。

ピアノ教室の初級コースを申し込めば、教えてくれる講師や同じ初級仲間と出会え、共に上達を目指す時間が楽しいものになるはずです。

例えばグループレッスンを受ければ、仲間と共に課題に取り組むので、すぐに打ち解けられます。個人レッスンを受けている人であっても、演奏会に参加すれば、ほかの生徒さんと交流する機会にもなります。

近年では初心者でもSNSで発信することが多く、インターネット上で同じ気持ちをもつ人と触れ合えるようになりました。新しい出会いがあると、大人のピアノを学んでいくモチベーションが上がります。

成長は遅くても前に進んでいることを実感でき、できなかったことができるようになる喜びは、気持ちを安定させる効果があります。初心者でも大人のピアノを続けていけば、上達している感覚を体感でき、努力の結果を体で確認できます。

もし退職してから生活に張り合いがないと感じている人は、大人のピアノを考えてみると良いでしょう。

初心者が上達するためのポイント

大人のピアノを始めるときには、まずはピアノを楽しむことが大切です。一方、上達するためにはピアノ教室でレッスンを受けることをおすすめします。自分に合うピアノ教室を見つけるために、まずは体験入学をしてみてください。体験入学でレッスンを受けたあと、続けるかどうかを決められるので、まずは気軽に参加してみましょう。

ピアノの練習は毎日コツコツ続けることで効果を発揮しますが、普段は仕事をしている大人の初心者は、毎日の練習が難しい場合もあります。また1週間に１回ピアノを弾く程度では、大きな上達の変化は期待できません。

ところが、1週間に２回以上ピアノを弾くと、上達のスピードは速まります。そのため、自分の仕事や生活の環境に応じて、毎日の習慣としてピアノ練習を行うと良いでしょう。

大人のピアノの初心者は練習しやすい曲を見つける

初心者でも楽譜を見ながらピアノをある程度弾けるようになって、初級から中級へ進むときには、分からないことや理解できないことに無理に向き合わなくても良いでしょう。むしろ関心があることや、得意なことから始めると、上達が早くなります。

楽譜を見て、自分が好きな曲や得意だと思う曲を見つけられれば、上達のスピードが上がります。ただし、好きな曲であっても適当に演奏してしまえば、思うように上達しないものです。自分にしっくりくる好きな曲と出会ったら、レッスンではその曲に真摯に取り組むようにしましょう。

大人のピアノを弾く環境を整える

自宅に広いスペースを確保できるときは、思い切ってグランドピアノを購入することも可能です。グランドピアノを置くスペースがないときは、壁付けピアノか電子ピアノでも良いでしょう。大きな音を出しても周りに迷惑がかからない環境であれば、グランドピアノや壁付けピアノで練習したほうが、ピアノの感覚が身に付きます。

しかし、日本の住宅環境では、大きな音を出せないケースは少なくないでしょう。「防音パネルを貼る」「日中の間だけピアノで練習し、夜には電子ピアノにヘッドホンをつけて練習する」といった工夫を施すなど、近所に迷惑がかからないような対策も大切です。